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じぶんだけのイロ レオ=レオニ

幅広い年代に愛され続けてきたレオ=レオニ。以前にもフレデリック、スイミーとレオ=レオニの代表作をご紹介してきました。今日は、ある悩みを抱えたカメレオンのお話「じぶんだけのいろ」をご紹介します。

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オウムは緑、ぞうはグレー、ブタはピンクと動物はそれぞれ自分の色をもっていますが、周りの環境に合わせて色を変えるカメレオンは自分の色がありません。どうして他の動物のように自分だけの色がないの?と悩むカメレオン。そこで彼は同じ場所に居続けたら自分だけの色を持てるのではないかと思いつき、葉っぱの上で暮らし始めます。しかし、季節によって葉は色を変えてしまい、残念なことにカメレオンは自分の色を持つことができません。嘆いていたカメレオンはある時、もう1匹のカメレオンに出会い、悲しみを共有します。2匹は一緒に生活を始め、一緒に緑になったり、紫や黄色になったり・・・仲良く幸せに暮らします。

いつも哲学的なメッセージが込められているレオニのストーリー。じぶんだけのいろにも「自分とは何者なのか」というテーマが垣間見えます。レオニは幼い頃からヨーロッパやアメリカを移動しながら成長し、また大人になっても生活の地を転々としてきました。そんな環境と共に変わる自分を見つめ続けてきたレオニ。このカメレオンが彼の経験を象徴しているのかもしれません。

つい周囲に合わせてなんだか疲れてしまったなんて経験は誰にでもありますよね。本当の自分ってなんだろう?自分らしさってなんだろう?と模索する時期も人間の成長過程の一部と言えます。ストーリーの中でも、自分だけの色にこだわり、それを探し続けるカメレオンの姿が描かれています。しかし、春になり賢い年上のカメレオンと出会うことによって彼の考え方が変わります。周囲に合わせて自分の体の色が変わることはどうにもできないけれど、悩みや自分の気持ちを打ち明けられる存在がいるという喜びに気が付くのです。心許せる存在がいるからこそ、自分らしくいられる。そんなレオニのメッセージが込められているような気がします。自分の心が自分らしくいることができれば、自然と「じぶんだけのいろ」は内からにじみ出てくるのかもしれません。周囲ばかり気になってしまう私は何色?と悩んだときにぜひ手に取っていただきたい一冊です。

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