シーリング 印璽と封蝋<古来の方法で送る特別な手紙>(お取り扱い終了)
シーリングスタンプ、日本語で印璽(いんじ)。蝋は金色や赤色がオーソドックスですが、皆さんもどこかで一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?今日はこのクラッシックな雰囲気があふれるシーリングスタンプを歴史と共にご紹介します。
最初のシーリングは古代メソポタミアのものだと言われています。そして、古代エジプトでも溶かした蝋に模様のついたシーリングスタンプ(印璽)を押して主に手紙の封に使われました。中世ヨーロッパでは貴族の間で流行りだし、同じく手紙や文章の封に使用されていました。現代でいう「糊付け」ですね。シーリングの元々の役割は、「開封されていませんよ」と秘匿を示すもので、信憑性を高めるためにシーリングスタンプには昔ながらの知恵と工夫があったようです。スタンプには差出人個人やその人物の家系のシンボルが刻み込まれており、差出人を証明する証となっていました。蝋で閉じられた封筒を開ければ蝋は砕けてしまい、受取人が開封する前に開けてしまえばすぐにバレてしまいます。現代は大量輸送による運搬ですが、昔は使いの物が宛先の本人、または代理人に直接手渡しで運搬をしていたため、途中で蝋が砕けてしまうことも少なかったそうです。また、蝋にスタンプを押し忘れると、差出人不明として受取人に受け取ってもらえないこともあったとか。糊付けの役割を担ったサイン又は印鑑・・・というところでしょうか。スタンプは信憑性を測る手段として使われていたんですね。主に王侯貴族が使用していたイメージがありますが、一般市民や職業組織でも広く使われていたようです。しかし、スタンプは持ち主が亡くなると破棄してしまうのが普通だったので、現存する物は少ないのだとか。
こうした長い歴史的な習慣はまだ現代にも残っており、契約書などに用いられています。現に欧米では、公証人が封蝋の印璽に似たエンボス印を押し、署名とともに使用されています。また、最近ではお手頃価格で文具雑貨の一部として扱うお店も多くなり、親しみやすいものとなってきました。現在は手紙の封だけでなく、お酒のボトルやプレゼントのパッケージなど、高級感を演出するためのワンポイントとして様々な使われ方をしています。
当店ではムスタッシュ、クローバー、バード、リボンのシンボルが刻まれた4種類のスタンプをご用意。蝋を火で熱したり垂らしたり、面倒くさいんじゃないの?と思われる方、ご安心を。蝋を丸くかたどられたシールタイプのワックスもご用意しております。火ではなくドライヤーで蝋を熱したらスタンプを上から押すだけ!手軽にシーリングをお楽しみいただけます。
今やEメールやSNSが普及し、ペンを手に取って手紙を書く人が少なくなってしまいました。手紙を送る機会が少なくなった現代だからこそ、送る時には大切に想いを込めて。中世ヨーロッパの雰囲気を味わいながら、素敵な演出をしてみませんか?