フォントのふしぎ
「タイトルロゴはオシャレに、それでいてシンプルに、かっこよく目立つもので。ヨロシク!」
『あれー?全然かっこよくない、しっくりこない。どうすればいいんだろう…。』
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PCの普及と高性能化によって、デザインは随分気軽なものになりました。色んな方がうんうんと唸りながらデザインソフトを使っているのをよく見かけます。デザインをかじった方すらうんうん唸って絞り出すのですから、ソフトを使い慣れてない方がそうなるのも当然かもしれませんね。私もしょっちゅう唸っております。
中でも特に悩むのが“ロゴ”でしょう、これさえキッチリできれば、大半の仕事は終わったといえるくらい重要な要素のひとつです。が、これがまた難しい。特に英字は種類も豊富で表現できる幅が広い分、楽しいながらも悩む悩む。思い悩んでブランドロゴを検索して参考にしようとすると…、「あれ?似たフォント(字体)を使っているのになんか収まりが悪い。」なんてことも一度や二度じゃきかないものです。
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「知っていただきたいのは、まず難しいルールなんてなくて、フォントって見た目で選んでだいたいOKってこと。(中略)皆さんの“見た”記憶の蓄積の何処かに触れる形を持ったフォントがあれば、それは目的にあったフォントなんですよ。」と、冒頭からフォントの入りやすさ、ロゴは特別なものではないと説くこの本。この手の教本は数あれども、書体デザインを中心に活動してきた著者だからこそなのか、これは本当に読みやすい。決してこなれたデザイナーの為のものだと身構える必要がなく、豆知識を蓄える程度の気持ちで読めてしまいます。
けれどもブランドロゴに込められた考え方やそれを使う理由、それによりどんな効果があるか等、鋭い洞察力でわかりやすく解説している、確実に身になる本といえるでしょう。
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“本として”も、これほどスラスラ読めてしまうものにはなかなか出会えるものではないかもしれません。手にとってしまえば、ついつい先へ先へと読み進めてしまうことでしょう。
フォントに作る側で関わることがない方も、ブランドロゴの秘密を知れば街中にある、文字そのものを楽しむオツな日常を過ごすことができるやもしれませんね。