360°BOOK 富士山 

富士五湖の水面に顔を映す富士山、笠雲をかぶる富士山、真っ白の雪化粧をして冬の訪れを知らせる富士山。その時々の表情が絶景と言われ、人々の目と心を楽しませてくれる日本一の山。俳人や詩人たちは日本一の美しさを詩(うた)にのせ、芸術家たちは日本画をはじめとする絵画作品や工芸品、デザインに表現してきました。富士の山を「美しい」と感じる心はいつの時代になっても変わることはないでしょう。

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皆さんのご察し通り、本日は富士山がモチーフになったミュージアムグッズのご紹介です。その名は「360°BOOK 富士山」。

本を立てたままぐるっと円を描くように360°本を開くと、糸でつながれている各ページが等間隔で並び、威容な富士山が立体的に立ち現れます。各ページには富士山や雲、鶴が繊細にレザーカットで型抜きされおり、これまでにない新たなアイディアで三次元の世界が表現されています。日の入り、もしくは日の出の太陽が赤く燃え、鶴が天に舞うその景色はまさに絶景。実物の富士山と同様、見る角度によって表情を変える様子に感動してしまいます。余白の空間でさえも「美しい」と感じてしまう画期的なアートブックですが、ここに辿り着く過程にはさまざまな苦労がありました。

こちらの絵本を開発したのは、建築士として活躍する大野友資(おおのゆうすけ)さん。建築模型やジオラマのような商品を作ろうと思ったのがきっかけだったそうで、360°BOOKのおおもとのアイディアはデスクに置いてあった付箋ブロックをパラパラとめくっているときに思いついたそうです。各ページを一枚一枚デザインしているわけではなく、3Dソフトウェアで立体の被写体をモデリングし、それを放射線状にスライスしたものにレザーカットが施されて一枚のページが完成となるそうで・・・。とっても特別で複雑な工程で制作がされています。

本格的な出版をするにあたり、印刷会社の苦労もさることながら、本を開くとページとページの間隔が等分になるように工夫がされている特殊な綴じ方は書籍業界にとって初めての試みであり、制作はほぼ手作業で行っているそうです。2012年に開催されたレザーカッターでつくるデザインアイディアを競うコンテスト「You Fab2012」において優秀賞を受賞されたこともあり世界から注目を集めているのですが、一冊一冊に手作業が加わるため量産が一般の書籍に比べ難しいのが今の課題なんだとか。

お土産やインテリア雑貨として活用できる新しい絵本、ぜひお手にとってみてください。

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