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飯島 洋子

Challenge Wall 出展作家のご紹介です。まず一人目は可憐な少女の作品が魅力的な飯島洋子さんです。

東京芸術大学で油画を学んだ後、企業パンフレットやイラストを制作する会社に就職をし、イラストやデザインの仕事をされていた飯島さん。しかし、それから10年間、絵と距離を置く時期が続き2001年に制作活動を再開。その再スタートとなったきっかけは、ここ軽井沢にあったそうです。とある美術館の展示会を見に軽井沢を訪れたとき、改めて美術、アートと向き合おうと思ったそうです。その後、アート活動を再開した飯島さんは個展、グループ展を多数開催し、東京を拠点にご活躍されています。

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飯島さんの作品は少女が主人公になっているものが多く、その美しさに心を惹きつけられます。飯島さんが少女を描き始めようと思ったきっかけは、睡眠中にみた夢の中で、ある少女が子供から大人へと成長して行く場面を見たことが始まりだったそうです。思春期特有の苦しい気持ちや不安が入り混じったそのなんとも言えない少女の眼差しが印象に残り、少女をモチーフにして描くようになりました。

今を生きる少女たちの心情に焦点をあてて絵を描き始めてから、実際にキャンバス上に描いた女の子にそっくりな子に出会ったり、また、初めて出会った女の子が絵のモチーフになっていることもあるようです。大人へと成長する思春期は、心も体もバランスが崩れやすい期間。未来に対する不安やもやもやした気持ちは女性なら誰でも経験したことがあるのではないでしょうか。「今を生きる少女の眼差しは私の少女期と重なります」、そう語る飯島さんも例外ではありません。飯島さんを含め、同じような経験や感情をもった人と絵を通じて繋がりたい。そんな願いも込められています。

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思春期の葛藤は、荒れ狂う混乱や矛先が定まらない怒りや苦しみではなく、一人の女性として自立するための、言うならば美しい女性として開花する準備期間と言えるでしょう。将来や生きることについて、自分自身とじっくり向き合う最初の時間かもしれません。飯島さんのまだあどけなさが残る少女からは、不安の中に見える夢や光、また女性の繊細さや可憐な一面が垣間見えます。

麻紙に油絵具、卵テンペラ、ある時は木炭や墨を使って描く飯島さんの豊かな技法にも注目です。西洋と東洋の絵画技法を組み合わせることによって、飯島さん独自の表現方法が生まれます。制作中に飼い鳥が麻紙を破いてしまうなんて裏話も。

現在は制作活動をされながら、イラストレーションのお仕事もされている飯島さん。信濃追分文化磁場油やさんのイベントスケジュールには飯島さんの坊やのイラストが表紙を飾っています。名前はずばり「油小僧」。実はこの油小僧の妹が展示作品の中にいるようで、飯島さん自身もとても大切にされているご様子でした。キャラクターと水墨画を合体させた作品制作は今後の試みのようです。

まるで別の次元の時が流れているかのような作品。語りかければ何かメッセージが返ってきそうな少女たちをどうぞご覧ください。

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