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ミニQマン 人型マグネット

かの有名な人型マグネットをご存知ですか?

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ニューヨークを拠点とするマグネットの専門店”nuop”(ヌオップ)がデザイン、開発した「ミニQマン」は人の形をしたマグネットです。両手足の先に磁石が付いているため、金属の上では自立します。また、心を静めての合掌も可能です。さらには、4足歩行も可能。はたまた、「ミニQマン」同士で手をつないだり、絡み合ったりと予想以上に動きます。「こいつ…動くぞ!」と言ってしまうこと間違いなし。また、小さくても強力な磁石は垂直の壁に立つことも、メモなどを挟み込むことも可能。一度遠方から鉄製の金網に向かって投げてみましたが、忍者のようにスチャッとくっつきました。楽しめます。

さて、この「ミニQマン」に私たちは何故しもこんなに惹かれ、心躍るのでしょうか?Q:「ミニQマン」を入れるためだけに特注されたであろうプラスチックパッケージが原因でしょうか?A:いいえ違います(※それが良いと思う人もいるかもしれません) Q:複数集めて手を繋がせると“It’s a Small World”みたいだからでしょうか?A:いいえ違います(※それが良いと思う人もいるかもしれません) Q:蛍光色でこの世のものとは思えないくらいカラフルだからでしょうか? A:いいえ違います(※それが良いと思う人もいるかもしれません)Q:では何なのですかっ!? A:それは“ヒト型”だからです。私たちは人間です。そのため、無条件でヒト型を好むのです。そういうものです。この「ミニQマン」というオブジェがヒト型であり、ヒト型であるがゆえに人気を博しているのには、ヒト型がヒト型たる深い所以がありそうです。どうやら私たちはヒト型の謎を解明する必要があるようです。

遡れば古くは有史以前、ラスコー洞窟壁画(フランス)にも15,000年前の旧石器時代のクロマニョン人によって描かれたとされるヒト型がいます。先史ヨーロッパ時代のアルタミラ洞窟壁画(スペイン)にもユネスコ世界遺産のヒト型がいます。紀元4世紀以前の古代エジプト象形文字“ヒエログリフ【hieroglyph】”にも様々な形態のヒト型文字が存在し、ついには紀元前196年にプトレマイオス5世によってメンフィスで出された勅令が刻まれた石碑“ロゼッタ・ストーン【Rosetta Stone】”では同石碑に同じく刻まれているギリシア語をもとに、1822年ジャン=フランソワ・シャンポリオンによりヒエログリフは解読されました。(※イギリスの物理学者トマス・ヤングとの説もあり)さらには、ナスカの地上絵にも緯度14.7452 度、経度 75.0798 度に宇宙人だとか宇宙飛行士であるとか伝えられている人型が確認されています。(※紀元2世紀頃マヤ文明で使用された象形文字である“マヤ文字【Mayan Glyph】”のヒト型は肉付きがいいので当てはまりません)

このように人類の誕生とともに描かれてきたと言っても過言ではないヒト型は、時に記録として、時に文字の代わりとして悠久の時を越えて使用されてきました。写真や文字言語が発達した現代社会においても、ヒト型は新たな形に生まれ変わり活用されています。それは私たちの日常生活で広く見かけるものであり、世界共通のメッセージ性を持つ重要な記号となっています。そう、ピクトグラムです。道路標識や非常口マークとして活用される言語に関係なく内容の伝達を直感的に行うことのできるピクトグラムは、万国共通のコミュニケーションツールであるのです。ヒト型は世界共通なのです。時にこのピクトグラムは1964年開催の東京オリンピックの際に、言語の壁を無くすために各競技を示す記号として開発されました。また1970年の大阪万国博覧会ではトイレのマークが誕生しています。青と赤の男女が仲睦まじく無表情で寄り添いあう、あのマークです。しかし当時は色分けもされず、なかなか普及しなかったとか…そんなピクトグラムが世界共通の言語となりえたのは、図像が人間を模した形であり、私たちがその人間であるからに他なりません。私たちが人間である限り、ヒト型に込められたメッセージは瞬時に伝わることでしょう。

また、芸術の分野においてもヒト型は確認できます。ストリートアートの先駆者として知られ、1980年代アメリカンポップアートを代表するアーティスト、キース・ヘリング(1958-1990)はシンプルな線と色のみでコミカルな人物や動物像を描き人気を博しました。性別や世代、国籍を超えて表現されるキースのヒト型には、“Love&Peace”や“人間の根源の部分”という深いメッセージ性が込められています。ヒト型という最も単純な図像に芸術性を込め、誰しもに分かるメッセージとして残したことは、大衆文化を軸に掲げるポップアートの本質であり、若くしてこの世を去ったキースの偉業であると言えます。そして20世紀末、ヒト型はついに芸術の域に達しました。というか、あなたもヒト型を描いたことがあるでしょう?いわゆる“棒人間”です。小学校の時のノートや教科書をご覧なさい。棒人間がパラパラと動いている事でしょう…。

最後になりましたが、南極の未確認生物(UMA)に“ヒトガタ(ニンゲン)”が存在します。また、宇宙人の代表格である“グレイ【Greys】”は頭が大きく瞳が真っ黒な銀色のヒト型です。何だかよくわからない影がGoogle Earthなどで発見されてしまった時や、宇宙人というものについて人々が共有しているイメージ(※宇宙の人と呼んでしまっている時点で囚われている)など、無意識のうちにヒト型を意識してしまっている可能性があります。すでにそれだけ私たちにとってヒト型が身近な存在であり、潜在意識の中に刷り込まれてしまっているのでしょう。ヒト型は人間にとって少し危険な存在でもあるのです。(※余談ですが、私は南極のヒトガタも、グレイも存在すると信じております) 本当は十字架とか、憑代とか、藁人形とか、全身タイツなどからもヒト型について語りたいのですが、ダークな方向に進んで行ってしまうのでここではあえて口を閉ざすことにします。「深淵を覗くならば、深淵もまた等しくおまえを見返すのだ」というニーチェの言葉が私のトラウマですから…。

さて話を戻すとしましょう。このヒト型マグネット「ミニQマン」はあなたの生活をスタイリッシュに変え、そして遊び心のあるライフスタイルを提供してくれることでしょう。そのユニークで独特なマグネットはグッゲンハイム美術館、MOMA、クーパー・ヒューイット国立デザイン博物館などのミュージアムストアをはじめ、エッジの効いたショップでは欠かせないアイテムの一つになっています。(※だそうです…ホームページ引用) 磁石という、本来物を張り付けるだけの道具にヒト型のデザインを与えることで、最近各地のミュージアムショップで注目を集めている“生活をデザインする道具”系のグッズになります。「ミニQマン」はそんな素敵なモノの代表格なのです。ちなみに、PVC(ポリ塩化ビニール)の体を持つ彼らは軟体です。

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