8/30(金)「軽井沢ゼミ」レポート

先月、30日(金)軽井沢町の小学校3校(西部・中部・東部)のこどもたちが展覧会を観にきてくれました。今回は軽井沢町教育委員会の主導で軽井沢の施設の協力のもと24の講座が設けられ、町内の5,6年生の小学生約300名が対象でした。数ある講座の中から美術館見学ツアーを希望した子どもたちが集まりました。

参加してくれた18名の子どもたちのうち6人は当館にワークショップなどで過去に来たことがあり、
その他は美術館さえ初めてという子どもたちもちらほら。
しかしみなさん、思った以上に大人びており、講師の先生(学芸員)からの話を目を見開き好奇心旺盛な様子で
集中して聞いておりました。

地球規模での環境保全の意識が生まれたきっかけである、アポロ11号の月面着陸時に撮影された漆黒の闇に浮かぶ青い宝石のような地球の姿に人類が驚いた話。
風景画が実際の風景を見て描かれるようになったのが明治期からとごく最近で、日本は盆栽、盆石、掛軸、浮世絵などで独自の宇宙観、世界観を描くことをとりわけ得意としており、現代のカプセルトーイや、漫画、プラモデルの発展はそういう背景につながっているという話。
自然を使った宮坂了作の植物文字によるランドアート、やクリストとジャンヌ=クロードの環境芸術の話。
それぞれにしっかり興味を示していましたし、予想した通りコンピューターによる絵画や最新鋭技術により再現されたシーラカンスの泳ぐデイジーの作品「ancient aquarium」に魅了された子どもたちはもちろん多かったのですが、イームズの作った「パワーズ・オブ・テン」(1977)は宇宙に興味のあった子どもたちにとって注目の的になったようです。

全ての作品を45分では見切れないので、見どころをかいつまんでお伝えしたつもりですが、解説をしきれなかったものにも質問は及び、子どもたちの感度の高さ、感受性の豊かさに感心しました。

最後には、感想文を予め用意していた紙にその場で書いて渡してくれました。
その中には、「画家になりたいので色んな作品が見れて楽しかった」「シーラカンスの作品の中に飛び込みたかった」「宇宙が好きなので《パワーズ・オブ・テン》が一番良かった」「ホイップクリームの作品とトイレの作品が面白かった」などなど、実に素直な気持ちが書かれており、”アートの魅力”じんわりと伝わっているなと実感しましたし、この経験がきっかけでアートに興味を持ってくれたら嬉しく思います。

さて、この「軽井沢ゼミ」初年度とはいえ、手ごたえは充分に感じられましたし来年も続行する予定と伺っています。
軽井沢町教育委員会の皆さん、軽井沢東部小、中部小、西部小の先生たちの協力なしではこれは実現できませんでした。
本当にありがとうございました!



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