ギャラリー

中村馨章:Voices of the Forest

インフォメーション

期間
2023年06月24日 - 2023年07月23日
会場
Gallery3
開館時間
10:00 - 17:00

休館日
毎週月曜(※月曜が祝日の場合は翌平日が休館)
料金
無料
お問い合わせ先
軽井沢ニューアートミュージアム
Tel. 0267-46-8691
ギャラリー

概要

一見静謐に佇む森には多様な音が溢れている。
聴覚に鋭敏な野生の鹿同士、樹木や菌類、森羅を照らす月 —— 森を構成する共生物は、同種・異種に限らず、すべての関係性において、対話にも似た有機的なつながりをもつ。それらは複雑なネットワークを形成しており、我々の人間社会と似ている。
— 中村馨章

軽井沢ニューアートミュージアム1Fギャラリー(ホワイトストーン・軽井沢)では、中村馨章の個展『Voices of the Forest』を開催いたします。
先天的な聴覚障碍をもち、幼いころからわずかな音と、目の前の人の口元や身振りを見て、他者とのコミュニケーションを図ってきた中村馨章。常に音を想像し、言葉と実像の間にある曖昧な言語の関係性を模索してきた中村にとって、対話の困難さは深い森や山の中で彷徨う旅人の心情に似たものでした。

今展において、中村は「音の森(Voices of the Forest)」の表象を目指します。人々の間に存在する、聴覚と視覚に関わる境界と、対話における接点、限界、さらにはそれらを超越した未知なる可能性を導き出すために。また、聴覚と視覚の空間において、素材・音・言葉がどのように互いに作用し合うのか、有音と無音の世界で感受する知覚の違いを追及します。

中村はこれまで、聞こえづらさゆえに、対話において様々な誤解を経験してきました。その体験から「誤解」に新しい価値と意味が生まれてきたのだといいます。それはコミュニケーションがずれることは否定的なものではなく、課題の解決の糸口を見出し、より進歩したアイデアの発想を可能にするということです。誰もが、大なり小なりコミュニケーションの問題を抱えています。今展では、中村にしか表現し得ない「対話の困難さ— コミュニケーションの本質」を実像化することによって、見るものに「誤解」は時に生じてもよいのだという新たな視点と、己の持つ先入観への疑問、そして、他者を受け入れ共感するきっかけを与える場となりえるでしょう。


プロフィール

中村馨章

2015年に東京藝術大学日本画博士後期課程、2020年には米国メリーランド・インステチュート・カレッジ・オブ・アートの大学院を修了。中村馨章は人々の間に存在する聴覚と視覚に関わる音とコミュニケーションにおける接点や限界を探求し、初期の日本画から、自己と他者の間を隔てている境界線を無意識に暗示させてきました。2012年12月より右耳に人工内耳を装用したことにより、音声、視覚、および時間の知覚に大きな変化があり、現在の作品の色彩と空間感覚、また言語感覚、コミュニケーションにおいて強い影響を与えています。

https://yosi-nakamura.com/

作家略歴

略歴
2020 メリーランド・インステチュート・カレッジ・オブ・アート(MICA)修士課程修了 修士号
2015 東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了 博士号

奨学金+受賞歴
2021 フェローシップ・アーティスト・イン・レシデンス・プログラム、Franconia Sculpture Park(アメリカ)
2020 Mount Royal friendship (MICA大学院賞, アメリカ)
2019 文化庁新進芸術家海外研修生
2018 The Leslie King Hammond Graduate Fellowship (MICA大学院フェローシップ, アメリカ) 
2009 台東区賞・平山郁夫奨学金(東京藝術大学日本画科)

展示歴
2022 個展, ホワイトストーン・ギャラリー(東京)
2021 個展, ウェーブプールギャラリー, シンシナシティ(アメリカ)
2021 個展, ザ・ウェルカムプロジェクト, シンシナシティ(アメリカ)
2021 個展, V+Vギャラリー, シンシナシティ(アメリカ)
2021 個展, ジュリオファインアーツギャラリー, ヨロラユニバーシティ, ボルチモア(アメリカ)
2020 レジデンスプログラム, ボルチモア(アメリカ)
2019 グループ展, ボルチモア(アメリカ)
2013-2017 グループ展, 高島屋(東京, 横浜, 大阪)

コレクション
東京藝術大学, 台東区コレクション