《太湖石―東風(Taihu Rock–East Wind)》
この作品は、中国庭園の象徴である「太湖石(たいこせき)」の形そのものを、書道の筆致として捉えたユニークな試みです。
よく見ると、石の構造が「東風(Dong Feng)」という二つの漢字を崩した草書体になっているのがわかります。上に「東」、下に「風」が配され、まるで力強い東風が吹き荒れているような躍動感を表現しています。形のある「石」と、形のない「風(力)」が一体となり、互いを引き立て合っているのが特徴です。
伝統的な書道を現代的な立体作品へとアップデートしたこの表現は、漢字の知識がなくても、その視覚的なインパクトからダイレクトにエネルギーを感じ取ることができます。東洋の伝統が新しい形で世界へと広がり、対話を生むための、非常に意義深い挑戦が込められた一作です。
《太湖石―東園(Taihu Rock–East Garden)》
太湖石(たいこせき)は、本来ひっそりと水に沈み、流れる水の跡や生き物たちの営みが刻まれることで、その生命力と独特の形が作られていくものです。
この作品では、作者の書道作品である「東園(Dong Yuan)」という文字を太湖石のフォルムへと再構築し、そこに「水」のエネルギーを吹き込みました。
鑑賞者は作品を通じて、静かな水面の静寂と、湖にそびえる石の雄大さを同時に感じることができます。光と影が織りなす表情や、歴史が育んだ文化的な深み。そこには、中国・江南の「水の都」が持つ、水と石が溶け合うような美しい風景が凝縮されています。
