作者とその作品: バオ・ペイ(鮑蓓/Bao Pei)

1960年中国・安徽省生まれ。北京の中央美術学院で版画を学んだ後、ニューヨークでの活動を経て、現在は北京を拠点に活動しています。
バオ・ペイの芸術スタイルは、彼女の豊かな人生経験そのものです。長年、油彩画を中心に活動してきましたが、ある時、手漉き紙の質感や絵具の香りに触れたことで、かつて学んだ「木版画」の記憶が呼び覚まされました。
彼女は筆を彫刻刀に持ち替え、木の板を削り、色を塗り、時にはせっかく描いたものを壊す――という工程を何度も繰り返します。こうして版画の技法と油彩の質感を掛け合わせることで、独自の「ミクストメディア(混合素材)」作品を生み出しました。
制作の根底にあるのは、自身の感情を言葉で記録し、それを絵画という行動へ移すプロセスです。幾層にも重なる複雑な色彩と形は、抑えきれない感情の爆発と、それを冷静に見つめる自制心のあいだで絶妙なバランスを保っています。
中国国立美術館をはじめ、世界各国の美術館に収蔵されています。作品は素材と格闘し、10年もの試行錯誤を経て辿り着いた、力強くも繊細な表現の世界をぜひお楽しみください。