第3展示室の巨大絵画作品《無題》4点(《パラダイス》Paradise含む)(2021年制作)についてご紹介します。
多くの立体作品が目立つ展覧会ではありますが、作家が画家であることを認めざるを得ない4点が第3展示室では出迎えてくれます。
どこかでみた金髪の男の子がこっちを見ています。
“リッチーリッチ―”というアメリカのコミック(Harvey Comics)の主人公の男の子がヴェンチューラの絵にはよく登場します。アニメや漫画、映画、ビデオゲームから飛び出してきた登場人物たちがデフォルメして描かれているものからミッキーマウスやドナルド・ダック、スヌーピー、ピノキオ・・・日本のアニメキャラクターそのものも非常に多く取りいれています。
《無題》(原題:パラダイス)の背景は、灰色で薄気味悪く、観るべき中心部が見当たりません。画面を見るたびに新しい人物や動物、想像上の生き物、その他キャラクターたちを発見するほど、異なる次元で何層にも塗りが重なり合っています。楽しさと陰鬱さ、かわいさとグロテスクさが混ざり合い、私たちの暮らす現代社会を俯瞰でみると、ちょうどこんな混沌とした様にみえるのかもしれません。
ロナルド・ヴェンチューラ《無題》2021年 油彩・キャンバス 243.8×365.8 cm
ロナルド・ヴェンチューラ《無題》2021年 油彩・キャンバス 243.8×365.8 cm
※この作品は当館のみでご覧いただける超大作です。実はヴェンチューラがこの展覧会でまず初めにメイン画像として使ってほしいと希望していた新作です。(残念ながら、著作権などの問題によりグッズやポスターにもできないのです。ここのページだけちょっぴり特別に公開!)