ロナルド・ヴェンチューラ《どこにも通じていない十字路》2015年についてご紹介します。
中世時代の騎士か、背後の大型車から現代の戦地での負傷した兵士なのでしょうか。中心の人物の前後に浮遊する頭が黒い鳥の天使と、ケルベロスか八岐大蛇(やまたのおろち)を思わせる多頭のモンスター。血がにじむこの人物は死へ向かっているようです。
この絵画は黒光りした樹脂製フレームにおさまっていますが、この額縁もよく見てみると、骸骨やサルの顔などを象った浮彫文様が施されおどろおどろしさと重厚さをこの作品に一層加味しています。
骸骨は死の象徴でありつつ不死の方法でもあり、この矛盾が素晴らしいとヴェンチューラは言っています。また自国の文化とその作品を見せる国との懸け橋になることが重要だ、とも発言しています。
《どこにも通じていない十字路》2015年 油彩・キャンバス、ガラス繊維、樹脂フレーム 132.08×162.56×6.35 ㎝