「前川 強」展をWebで #2 展示室2 新たな表現
軽井沢へお越しいただけない方々へ
「前川強」展より作品をご紹介します!
今回は展示室2からのご案内です。ここでは「具体美術協会」(具体)が解散した後の前川 強さんの挑戦を紹介しています。
高校の図案科でデザインを学んだ前川さんは卒業後、グラフィックデザイナーとして働きながら具体に入会しアーティストとしての活動を続けます。
1972年、指導者の吉原治良氏が逝去し具体は解散しますが、この頃前川さんは自らの制作を振り返ります。そして「もう一度、布だけから始めてみよう」と考え、ドンゴロスよりも柔らかい麻布を使った新たな表現を始めました。
一つの素材に異質の素材をはめ込む「象嵌」(ぞうがん)で図形を作り、ミシンでつまみ縫い(ピンタック)して細かなヒダの線を引いたこれらの作品は、まるで自らの胸の内をたどるかのようにミリ単位の作業を重ねてできており、観るものを内省へと導きます。また、シンプルな構図にはデザイナーとしてのバランス感覚が活かされています。
この作風で前川さんは、1981年に「第15回現代日本美術展」東京都美術館賞を、82年には「第14回日本国際美術展」京都国立近代美術館賞など各賞を受賞しました。
*次回は展示室3、新たな表現を見出した前川さんですが、それに続くさらなる挑戦をご紹介します。
さまざまな布を駆使した作家•前川強の世界をぜひ、ご覧ください。
【作品画像】Work (No.151026), 1982, 130.3×162.1cm, 麻布、縫い、アクリル
○企画展
前川強
ドンゴロスは生かされている。
色と形と物質による純粋抽象表現で発言する。
会期:2020年2月8日(土)〜6月28日(日)