【隈研吾展、展示替え後の新プロジェクトご紹介!】
新たに軽井沢の展示に加わったプロジェクトをご紹介いたします。
那須芦野 石の美術館 STONE PLAZA (2000年、栃木)です。

栃木県那須町というとリゾート地の印象がありますが、芦野はそのエリアから外れた、
松尾芭蕉の奥の細道に登場する素朴な宿場町でした。
この計画は石材会社の白井伸雄社長が築80年を超える古い石蔵と出会い、それを活用した石を積み上げた
建築の見本となるような、石のアートやクラフトを展示する美術館を作りたいという依頼から始まりました。
地元の「芦野石」は自社で採石でき無料、石職人は自由につかえるが、それ以外の予算はゼロ”。という厳しい条件のもと、
5年の歳月をかけて完成。
この建物には技術的に高度な2種類の挑戦があり、1つ目は隙間をあけながら石を積んでいく「組積造」で作ること。
2つ目が石のルーバー(細長い羽板状の素材を薄く並べたもの)で軽くて明るい印象の石の壁を作るということでした。
構造設計のためにエンジニアに相談し、石職人の経験を頼りにどの薄さまで切っても石が割れないかなど実験を繰り返したそうです。それが芦野石を50ミリという薄さに切って積み上げた「石格子」です。
一部石壁に嵌め込まれた光が透ける大理石によって石の間を風や光が直接通り、またそれぞれの建物が石橋で繋がれ、周辺の水盤が空を映し、季節やその日の天候によって違った表情を見せる繊細さがあり、景観との調和が美しい空間です。
石の美術館は国際石の建築賞(イタリア)などを多数受賞し、隈氏の代表的な“素材主義建築”の先駆例の1つとなりました。
