概要
岩絵具は、地中深く眠っていた鉱石から生まれる。
それは、何億年という時間をかけてつくられた自然の記憶であり、色の源である。
私は、その記憶を、一粒一粒、画面に置いていく。
日本画の素材はすべてが自然由来である。
岩絵具、和紙、膠、筆──これらは画材でありながらも単なる道具ではない。
「自然と人との共同作業」の証として、今、私の手の内にある。
風景を描くという行為は、人と自然の関係性を静かに問う営みだ。
岩絵具の質感、重み、光の変化、揺らぎ。
コントロールしきれない偶然性が、作品に「自然の時間」を刻み込む。
描くほどに、自然と私の境界線は曖昧になってゆく。
色が滲む。筆が震える。粒子が光を帯びる。
それらはすべて、ひとつの「関係性のかたち」だ。
私と自然とのあいだにある無数の対話が、作品として立ち上がってくる。
本展では、土から生まれた鉱物が、時間と技術と感覚を通して「ひかり」となって立ち上がるプロセスを
可視化 したいと考えている。
かつては金と同等の価値を持ち、寺院や屏風に塗られてきた群青。
アフリカやアジアの地層の奥深くから採取され、何段階もの人の手を経て私のもとに届いた
岩緑青。 それらは、単なる色ではない。
風景の中に置かれたその一粒が、見る者の中に眠る「自然との記憶」を呼び起こすだろう。
土から、ひかりへ。
私は、自然を再現しているのではない。
自然という存在と、どう共に在るかを模索している。
共に呼吸し、耳を傾け、見えない対話を重ねる未来の風景を思い描いているのだ。
それはつまり過去への郷愁ではなく、未来への問いかけといえるだろう。
この不確かな時代にあってなお、絵の中に残せる「つながり」のかたちを、私は探し続けている。
それは、何億年という時間をかけてつくられた自然の記憶であり、色の源である。
私は、その記憶を、一粒一粒、画面に置いていく。
日本画の素材はすべてが自然由来である。
岩絵具、和紙、膠、筆──これらは画材でありながらも単なる道具ではない。
「自然と人との共同作業」の証として、今、私の手の内にある。
風景を描くという行為は、人と自然の関係性を静かに問う営みだ。
岩絵具の質感、重み、光の変化、揺らぎ。
コントロールしきれない偶然性が、作品に「自然の時間」を刻み込む。
描くほどに、自然と私の境界線は曖昧になってゆく。
色が滲む。筆が震える。粒子が光を帯びる。
それらはすべて、ひとつの「関係性のかたち」だ。
私と自然とのあいだにある無数の対話が、作品として立ち上がってくる。
本展では、土から生まれた鉱物が、時間と技術と感覚を通して「ひかり」となって立ち上がるプロセスを
可視化 したいと考えている。
かつては金と同等の価値を持ち、寺院や屏風に塗られてきた群青。
アフリカやアジアの地層の奥深くから採取され、何段階もの人の手を経て私のもとに届いた
岩緑青。 それらは、単なる色ではない。
風景の中に置かれたその一粒が、見る者の中に眠る「自然との記憶」を呼び起こすだろう。
土から、ひかりへ。
私は、自然を再現しているのではない。
自然という存在と、どう共に在るかを模索している。
共に呼吸し、耳を傾け、見えない対話を重ねる未来の風景を思い描いているのだ。
それはつまり過去への郷愁ではなく、未来への問いかけといえるだろう。
この不確かな時代にあってなお、絵の中に残せる「つながり」のかたちを、私は探し続けている。
-
企画・主催
Whiteatone gallery Karuizawa
アーティスト情報
二川和之
1954年香川県高松市生まれ。1976年金沢美術工芸大学日本画科を卒業、1978年東京藝術大学大学院を修了したのち30代半ばから風景画に絞って作品を発表する。現実感に満ちた生々しい空間を描いた作品の数々は、ロシアをはじめ海外の展覧会でも高く評価されている。伝統的な日本画の技法を継承しつつ、対象の確固たる存在感を岩絵の具の重ね塗りで細心に描き出し、静かな風景の中で深さを極めるべく、遠近感や質感そして物の存在感を偽りなく表現した作品にはリアリズムを越えてさらに美しく輝く心象風景へと昇華する。同時に近年は人物画の制作にも注力しており、同一モデルを秒間隔でそれぞれ描き、ひとつの平面作品に落とし込む「秒差」シリーズは日本画の伝統技法と現代感覚が共存する写実形態として注目度を高めている。さらに風景から人物へと傾斜していく先に見出されたのが、自然と人物を象徴的に組み合わせたスタイルである。自然の諸相が人間のかたちを媒介として立ち現れるこれらの表現は、人と自然との境界を問い直す視座を内包している。そこに在るのは、風景への憧憬と、人間存在への静かな問いである。二川和之インタビュー記事はこちらから

作品情報
-
透過する身体#1 / 2025 /パネル 紙本 岩彩 共シール / 65.2 × 53.0cm -
君がいた景色/2025/額 紙本 岩彩 共シール/65.2 × 50.0㎝ -
森の間で言葉はかすれる/2025/額 紙本 岩彩 共シール/53.0 × 45.5㎝ -
森の祈りと月の女神/2024/額 紙本 岩彩 共シール/53.0 × 45.5cm
関連イベント
【オープニングレセプション】
-
出演 :
二川和之 -
日時 :
2025年7月26日(土) 15:00~
スペシャルゲスト
二川和之の個展開催を記念して、元NHK交響楽団メンバー2名によるファゴットとピアノのささやかな二重奏を予定しております。
参加費:無料
予約:不要