概要
このたびホワイトストーンギャラリー軽井沢では、ギャラリーのコレクション展「抽象と具象 - 墨が描く二つの視点 -」
を開催いたします。
墨による絵画は、古くから東アジアの伝統文化に根ざした芸術ですが、現代のアートシーンにおいても注目を集めています。
墨のもつ特性は、作品に深みを与えます。この素材は、過去から現在まで、多くの芸術家に使われて様々な表現がなされています。
本展覧会では、異なるスタイルを持つ二人のアーティスト、上原木呂と川島優による墨で制作された作品をご紹介いたします。
それぞれの作品の表現形態である「抽象」と「具象」という二つの異なるアプローチを通じて、墨という素材が、それぞれどのような表現を生みだすのかを探ります。
上原木呂はシュルレアリスムという幻想的な表現が特徴的な芸術運動の影響を受け、この運動で開発された技法であるデカルコマニーやフロッタージュ、スタンプなどのテクニックを用いて偶然性による表現方法で墨による抽象絵画を制作しており、水墨画の表現領域を拡張しています。
その作品は伝統的なスタイルの水墨画でありながら現代的な感性が表現されています。
川島優の作品は、墨や岩絵の具で描いた細部にわたる精密な描写や質感の表現が特徴的なスタイルで実物のようにリアルな作品を制作しています。特に、代表的なシリーズである女性をモチーフにした作品は、そのリアルな表現とは相反し、どこにも実在しない空想上のポートレイトを制作しています。
川島は、作品を通じて現代社会の不安や空虚を描き、作品で表現される少女像には作家自身の面影も感じられます。
この二人のアーティストの作品は一見すると、相反する表現方法を持ち、関連する部分が無いように感じますが、墨という伝統的な素材を使いながらも新しい表現を模索し、現代社会や新しい表現を描き出すと同時に「墨」という素材の持つ奥深さや余白の美を生み出しています。
墨という素材を使った作品による本展覧会を通じて、異なる表現や感性が共鳴することで生み出される特別な瞬間をお楽しみください。
を開催いたします。
墨による絵画は、古くから東アジアの伝統文化に根ざした芸術ですが、現代のアートシーンにおいても注目を集めています。
墨のもつ特性は、作品に深みを与えます。この素材は、過去から現在まで、多くの芸術家に使われて様々な表現がなされています。
本展覧会では、異なるスタイルを持つ二人のアーティスト、上原木呂と川島優による墨で制作された作品をご紹介いたします。
それぞれの作品の表現形態である「抽象」と「具象」という二つの異なるアプローチを通じて、墨という素材が、それぞれどのような表現を生みだすのかを探ります。
上原木呂はシュルレアリスムという幻想的な表現が特徴的な芸術運動の影響を受け、この運動で開発された技法であるデカルコマニーやフロッタージュ、スタンプなどのテクニックを用いて偶然性による表現方法で墨による抽象絵画を制作しており、水墨画の表現領域を拡張しています。
その作品は伝統的なスタイルの水墨画でありながら現代的な感性が表現されています。
川島優の作品は、墨や岩絵の具で描いた細部にわたる精密な描写や質感の表現が特徴的なスタイルで実物のようにリアルな作品を制作しています。特に、代表的なシリーズである女性をモチーフにした作品は、そのリアルな表現とは相反し、どこにも実在しない空想上のポートレイトを制作しています。
川島は、作品を通じて現代社会の不安や空虚を描き、作品で表現される少女像には作家自身の面影も感じられます。
この二人のアーティストの作品は一見すると、相反する表現方法を持ち、関連する部分が無いように感じますが、墨という伝統的な素材を使いながらも新しい表現を模索し、現代社会や新しい表現を描き出すと同時に「墨」という素材の持つ奥深さや余白の美を生み出しています。
墨という素材を使った作品による本展覧会を通じて、異なる表現や感性が共鳴することで生み出される特別な瞬間をお楽しみください。
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企画・主催
ホワイトストーン軽井沢
アーティスト情報
上原木呂・川島優
上原木呂1948年新潟県生まれ。東京藝術大学出身。若くして瀧口修造に出会い、シュルレアリスムに親しむ。1976年からイタリアに渡り、コンメーディア・デラルテ(イタリア仮面喜劇)を学ぶ。帰国後はコラージュ作品を発表。近年は抽象表現主義絵画を手掛ける。2010年「上原木呂とマックス・エルンスト―シュルレアリスム東と西」(レーゲンスブルク市立美術館、ドイツ)、2016年「シュルレアリスムとその展開 マックス・エルンスト 上原木呂 特別招待:ヤン・シュヴァンクマイエル」(軽井沢ニューアートミュージアム)を開催。
川島優
現代日本画を担う若きホープ。伝統的な技法を継承しつつも、精緻な線描によって生み出されるモノトーンの絵肌、そこに佇む無機質な人物像は現代社会の深層を鋭くえぐる。2013年愛知県立芸術大学卒業。同大学院博士前期課程美術研究科日本画領域専攻へ進む。第68回春の院展初入選。2014年損保ジャパン美術賞FACE展にてグランプリ、併せてオーディエンス賞受賞。受賞作品『TOXIC』が東郷青児美術館買い上げとなる。2015年ホワイトストーンギャラリーにて個展。香港・台湾・上海などの国際アートフェアに立て続けに出展。