概要
今回の個展では《水辺》シリーズを中心に展示します。このシリーズでは琵琶湖水域の沼や湿地帯が取材の現場となっています。私はマクロレンズを装着したカメラを持って沼地に入り込み、フィールドワークを行います。私はこの水辺での徘徊で多くのことを感受します。そこでは、私の身体を含めたあらゆるものが、偶発的に交叉し共鳴していることが実感されます。
《水辺》は、水辺に映り込む自然のあるがままの有り様を、映像的なヴィジョンとして読み込み、油彩により定着したものです。私はこれまで古典的な油彩画を研究してきましたが、これらの作品は、その成果として初期油彩画のグリザイユ+ラズール技法を独自に発展させた方法で制作されています。長い時間をかけて作られるその画面の重層的組成構造は大変堅牢であり、また独自の材質感と色彩効果を発します。
芸術とは世界の側に潜在している豊穣さをこちら側へ出現させる技術に他なりません。自然こそが意味の始まりであり、大切なものは自然の側から人間へ贈られているのです。私は、このグローバルな地球環境の時代にふさわしい新たな自然美学の実践としてこのシリーズを制作しています。《水辺》は、日本文化の精神性の特質を新たなかたちで表現することへの挑戦であり、油彩画の本来の機能性を十分に発揮させることで得られるこの表現は、絵画史上類を見ない試みといえます。
《水辺》は、水辺に映り込む自然のあるがままの有り様を、映像的なヴィジョンとして読み込み、油彩により定着したものです。私はこれまで古典的な油彩画を研究してきましたが、これらの作品は、その成果として初期油彩画のグリザイユ+ラズール技法を独自に発展させた方法で制作されています。長い時間をかけて作られるその画面の重層的組成構造は大変堅牢であり、また独自の材質感と色彩効果を発します。
芸術とは世界の側に潜在している豊穣さをこちら側へ出現させる技術に他なりません。自然こそが意味の始まりであり、大切なものは自然の側から人間へ贈られているのです。私は、このグローバルな地球環境の時代にふさわしい新たな自然美学の実践としてこのシリーズを制作しています。《水辺》は、日本文化の精神性の特質を新たなかたちで表現することへの挑戦であり、油彩画の本来の機能性を十分に発揮させることで得られるこの表現は、絵画史上類を見ない試みといえます。
アーティスト情報
岡田修二 ( おかだ しゅうじ )
パブリックコレクション上野の森美術館(東京) 愛知県立芸術大学芸術資料館(愛知) 第一生命保険相互会社(東京)
大阪府(大阪) 滋賀県立近代美術館(滋賀) 文化庁(東京)
大原美術館(岡山) 高松市美術館(香川) セゾン現代美術館(長野)
作家略歴
1959 香川県高松市生まれ1987 愛知県立芸術大学大学院美術研究科絵画油画専攻修了
2007 京都市立芸術大学大学院美術研究科博士(後期)課程油画領域修了 博士(美術)
2013 ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ客員研究員
現在 成安造形大学学長
近年の主な個展
2003 「岡田修二 絵画―見ることへの問い」滋賀県立近代美術館(滋賀)
2007 「岡田修二―モネ・水の記憶」大原美術館(岡山)
2014 ギャラリー16(京都)
近年の主なグループ展
2007 「平成17~18年度文化庁買上優秀美術作品披露展」日本芸術院会館(東京)
2008 「開館20周年記念コレクション+ひびきあう音・色・形」高松市美術館(香川)
2009 「ART TODAY 2009 岡田修二 安田佐智種」セゾン現代美術館(長野)
2010 「遭遇、カオスにてー伝統・現代・日本・西洋」セゾン現代美術館(長野)
「大原美術館創立80周年記念特別展 大原BEST」大原美術館(岡山)
2011 「トリック&ユーモア」横須賀美術館(神奈川)
「ART TODAY 2011 昨日の今日と今日の今日」セゾン現代美術館(長野)
「モノクローム 色彩の記憶」高松市美術館(香川)
2012 「自然学|SHIZENGAKU~来るべき美学のために~」滋賀県立近代美術館(滋賀)
2013 「自然学|SHIZENGAKU」ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ、他(ロンドン)
「大原コンテンポラリー」大原美術館(岡山)
2014 「本物を超えて」福井市美術館(福井)
主な受賞
1984 「第2回上野の森美術館大賞展」特別優秀賞(彫刻の森美術館賞)
1998 「VOCA展'98 現代美術の展望~新しい平面の作家たち~」VOCA奨励賞
2001 「第10回国際現代造形コンクール 大阪トリエンナーレ2001」毎日放送賞
2007 博士論文梅原賞(京都市立芸術大学)
第32回 滋賀県文化奨励賞
2011 ダイワファウンデーションアワード(大和日英基金 ロンドン)
2012 第3回創造する伝統賞(公益財団法人日本文化藝術財団)