レナ・レヴェンコ 展 ~ KaNAM Challenge Wall 14 ~
開催日:2018年5月16日(水)- 6月18日(月)
開催時間:10時~17時(企画最終日は15:00まで)
火曜休館(火曜が祝日の場合はその翌日休館)
場所:軽井沢ニューアートミュージアム 1階ミュージアムショップスペース(1階は入場無料)
KaNAM Challenge Wall 第14弾。今企画初の海外作家:レナ・レヴェンコの個展を開催する。
イスラエル在住の作家であるが、日本での個展は今回が何と三回目となる。日本をはじめアジア圏の文化に対する興味は大きく、作品にも着物の柄やテキスタイルなどが表現の一部として反映され、落款がある点にもその影響が伺い知れる。エルサレムアカデミーでビジュアル・コミュニケーションとデザインを学んだ後、アジアの国々を旅した際に訪れたインド、そこで出会った細密画が中でも特に影響を与え、現在の作品におけるルーツになっている。
しかし、作品を前にして最初に抱く印象はインドでも日本でもない、作家独自の世界観そのものだ。モチーフの中心となる人物は、青い瞳に赤い髪の毛、頬にそばかすのある西洋人。海外の作家であるため当然ではあるが、人種の違いだけで絵の印象は大きく変わって見える。だが、それだけでない。個性的な描き方で何とも目に飛び込んでくる佇まいと、そのインパクトに対して顔は至って無表情。
人物の周りや身に着ける衣装には、その隠された感情を比喩するかのように植物や動物、あるいはモンスターのような生き物が描かれている。そこには作家の心象風景であったり、憧れや自身を取り巻く環境・人々、時に宗教観念など様々な感情や意図が込められている。多くの物にインスピレーションを受ける作家において、その描かれる対象はチーズからサボテンまで様々であり、その組み合わせが作品をより個性的なものにしている。
また、海外に対する高い関心が感じられるもう一つのポイントが、用紙選びにある。旅先や地元の蚤の市で集めた大量の古本や新聞、手紙などの中から一枚を選び、しばらく画面を見つめ描くものをイメージする。時には最初のイメージとは違った作品が出来上がる事もあるが、一枚の紙から抱く印象と自身が持つ感情をマッチングさせることが制作において大事なプロセスになっているのだ。
日本人にはない独特の感性と作家独自の個性、それでいて日本やアジアの国々の文化が取り入れられた作品。それらをこの日本で展示する事には非常に意義があり、作家と同じく、我々も新たな価値観を得る事が出来るだろう。
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