この回では第5展示室入ってすぐに展示されている5台のテレビ型作品についてご説明します。
ブラウン管テレビの中に、ミニチュアのフィギュアで作られたフィリピンの人の暮らしが広がっています。
リクライニングチェアにくつろぐ人物の部屋にはパソコンがあり、バスケットボールやNBAと書かれた本やトロフィーなどが置かれています。
欧米化した現代人の暮らしがある一方、豊かにはみえますが作品タイトルにもある通り《孤独》です。また、《いつもの時間》、《マザーオブドラマ》(いずれも2010年)では質素な食事を前に神に祈る敬虔なカトリックの家族や母子の姿が見て取れます。そのほか、「Loto」という宝くじの紙切れを握りしめた人物が一人部屋で神頼みをしている姿《勝つか負けるか》は可笑しみをも持って表現されています。
フィリピン社会の貧富の差を示しつつも、これらテレビ型作品から我々現代人の姿をテレビのブラウン管越しに見ているかのような感覚を覚えます。
左上段から反時計回りの順に 《マザーオブドラマ》《いつもの時間》《勝つか負けるか》《孤独1》《孤独2》
いずれも制作は2010年 ガラス繊維、樹脂、ポリウレタンペイント、LEDライト