篠田桃紅 名前との出会い

篠田桃紅(1913-2021)は満州で生まれ、初めて筆をとったのは5歳である。その後も書を続けてゆく中で、父がつけてくれたのが「桃紅」(とうこう)という雅号である。
本名は「満州子」(ますこ)だが、生涯「桃紅」を使って作家活動を続けることとなった。
名前の由来は中国の古い書物「詩格」の中の七言対句「桃紅李白薔薇紫 問著春風總不知」(「桃は紅、李は白、薔薇は紫 春風は一様に吹くが、花の色はそれぞれ」)から取られたもので、春に生まれた桃紅につけたものである。
桃江は「私の名前が李白と並んでいて恐れ多い」と言っているが、李白には「桃紅流水沓然として去る」という詩句があり、これも桃紅に関連している。