別れ、出会い、再びの別れ:鏡の国 最後の麗しき日々」1978-1979 ポール・デルヴォー

ベルギーのシュルレアリスト、ポール・デルヴォーの本作品は、友人の小説家
クロード・パスカルが執筆した小説の挿絵として制作されたものである。
ところが二人は仲たがいし、作品は挿絵として使われなかった。

作品はその後、デルヴォー本人により銅版画として制作され、作家が亡くなった後に家族が手彩色して発行された。
小説の押絵として、8枚一組で制作されたもので、小説のストーリーに合わせた構成となっている。

小説自体は以下のようなストーリーである。

ジュールとマリーは長年連れ添った夫婦であるが、ある日マリーは病気で亡くなってしまう。悲しんでいたジュールは妻と別れることはできず、妻を剥製にして永遠にその姿をとどめることを思いつく。
ジュールは剥製士に依頼し、マリーの姿は永遠となる。剥製となったマリーは生きていた時と同じように過ごし、ジュールは妻との新しい人生を再び歩むこととなる。
時が過ぎて、ジュールは年を重ねるが、妻のマリーは歳を取るどころか不思議なことに若返って行くように見える。それに耐えられなくなるジュールは結局、妻をバラバラにしてしまう。

別れから、出会い、そして再びの別れという不思議な物語に合わせた挿絵が作られている。