ようこそロブスタープラネットへ 第3展示室

第3展示室には第1展示室で観た《「泉」のロブスター》と《サボテン・ロブスター》の絵画、そして、
“トリプティック”と呼ばれる三連画シリーズ作品が3点、それから作品の角に2点ひまわりを被ったロブス
ターと座った鏡張りのロブスターがあります。

この部屋では三連画の1つ《ロックダウン・トリプティック》と《「ひまわり」のロブスター》2点の作品にフォーカスしてみましょう。
前者の《ロックダウン・トリプティック》は2020年3月コロナ禍でロンドンがロックダウンに突入した時に描かれたものです。当時の家から出られないイライラやジレンマを描いている作品です。左からサボテン、サメ、花の被りものをしたロブスターが反骨精神の塊のようなロックミュージシャンの持つギラギラ感を出しながら、しかし椅子に座っています。よく見ると背景はベッドがあったり、裸電球がぶらさがっていたり、壁掛けの絵がかけられ、テーブルがあったり、絵具がちらばっていて室内であることがわかります。登場キャラクターたちは三人とも椅子に座りたばこをふかしたり、絵をかいたり、時間を持て余している様子。また、黄色や青の浮遊する点々は目に見えないコロナウィルスにも見えてきますし、落書きのような”LOCKDOWN NO END”という文字は2020年の先の見えぬ不安や焦燥感を表しているようです。

もう一つはひまわりの花束に埋もれたロブスターの彫刻。

これはゴッホの《ひまわり》の作品を花瓶ごと被っているのがわかるでしょうか。なぜゴッホとわかるのでしょう?それは花瓶にVincentという文字が刻まれているからです。ゴッホの名前はVincent Van Gogh(ヴィンセント ヴァン=ゴッホ )。そう、“ヴィンセント”なのです。コルバ―トはゴッホのポートレートや籐の椅子も多く描き、《ロックダウン・トリプティック》では白黒で漫画風に描き、他の絵ではゴッホの点描画とわかるような色の塗り方をしています。ロブスターの仲間たちが座ったり、壊れて横に転がっているものもあります。

コルバートが訪日した際に、これらの作品を目の前に幼い頃から繰り返し見ている馴染みある、そして脳裏に焼きついているイメージをコピー&ペーストして並べる面白さを語っていたことを思い出します。有名ブランドのロゴや、他の作家の代表的モチーフなどを自身の作品世界に、歴史的もしくはブランド的価値の重さに関係なく均一に取り込む世界観は、事の上下関係を信じていないというコルバートらしさとしてここに現れています。

 

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