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「アートはサイエンスⅡ」展 アーティスト紹介 #10 ヤノベケンジ

現在、開催中の「アートはサイエンスⅡ」展に出品いただいている作家さんとその作品を担当学芸員が紹介します!

第10回目はヤノベケンジさんです。
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ヤノベケンジ《アトム・スーツ・プロジェクト‐大地のアンテナ》

整然と並んだ大量のフィギュア。
数体にはガイガーカウンターが付いていて、
自然放射線を検知するとピッと鳴ります。
自然放射線は、宇宙から常に届いているので、
展示室のあちこちでピッピッと聞こえます。

ヤノベケンジさんは、アーティストとして自分自身が「大地のアンテナ」となり、
宇宙からのメッセージを受け取って人々に伝えていきたい、と考えました。

中央には、チェルノブイリへ行った時の写真が広がり、
その上に自作の放射線防護服「アトム・スーツ」を着た作家の姿が立っています。
唱えた念仏の一文字一文字が仏となったといわれる、
空也聖人の立像のポーズです。

子ども時代、大阪万博跡地で遊び、
「未来の廃墟」を見ている気持ちになったとのこと。
“廃墟の中から新しいものが生まれる”と考え、
「妄想」や「サヴァイヴァル」をテーマに制作を続けていました。
しかし、チェルノブイリで見たものは、
廃墟の中で生活する人々の現実でした。

2000年、アトム・スーツのヘルメットを外して作ったこの作品は、
「アトム・スーツ・プロジェクト」の最後の作品となりました。

実際にアーティストが来館して作った空間で、
科学と芸術の転換点を追体験してみてはいかがでしょうか。

(学芸員 菊池夏乃子)

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ヤノベケンジ
1965年大阪府に生まれる。1989年 京都市立芸術大学美術学部彫刻専攻卒業。1991年 京都市立芸術大学大学院美術研究科修了。2008年~京都造形芸術大学教授兼ウルトラファクトリー・ディレクター。2012年京都府文化賞功労賞

1990年《タンキング・マシーン》が第1回キリンプラザ大阪コンテンポラリー・アワード’90グランプリを受賞。1992年「妄想砦のヤノベケンジ」(水戸芸術館、茨城)1994年 ベルリンに滞在。(~1997年)1997年チェルノブイリを訪問。《アトムスーツ・プロジェクト》を開始。(~2003年)「Kenji Yanobe: Survival System Train and Others」(イエルバ・ブエナ芸術センター、サンフランシスコ/カリフォルニア大学美術館、サンタバーバラ、アメリカ)2002年「タイムトラベル・ダブルサイクル・プロジェクト」(イッセイ・ミヤケ フェット、東京)「EXPOSE 2002 夢の彼方へ ヤノベケンジ×磯崎新」(KPOキリンプラザ大阪/横浜赤レンガ倉庫、~2003年)2003年「メガロマニア」(国立国際美術館、大阪)2005年「キンダガルテン」(豊田市美術館、愛知)2007年「トらやんの世界」(鹿児島県霧島アートの森、鹿児島)2009年「ウルトラ」(豊田市美術館、愛知)2013年「あいちトリエンナーレ2013」(愛知県美術館、他)2016年「ヤノベケンジ シネマタイズ」(高松市美術館)

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チェルノブイリ原子力発電所事故から32年。東日本大震災から7年。
今、改めて、この作品を伝えていきたく思います。

◯「アートはサイエンスⅡ」展は2018. 3. 31 (土)まで。
「アートはサイエンスⅡ」展については

こちらから
*展覧会HPから作家紹介#1~9をご覧いただけます。

⇒次回は最終回「#11 河口洋一郎 」2018.3.16(金)に掲載予定です。

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