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「アートはサイエンスⅡ」展 アーティスト紹介 #6 靉嘔 (Ay-O)

現在、開催中の「アートはサイエンスⅡ」展に出品いただいている作家さんとその作品を担当学芸員が紹介します!
第6回目は靉嘔さんです。

虹のシリーズで知られる日本を代表する作家、靉嘔さんですが、
今回は、1960年代始めにニューヨークで活動していた若かりし頃の作品を展示しています。
さて、どんな作品なのでしょうか。

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闇夜のハイドラ

あれは何だろうか!? ある日、地鳴りとともに出現した。
(大丈夫です、美術作品です。いいえ、展示替え中に我々が設置しました。)
空にそびえる鉄の城とも、大地を揺るがす超電磁ロボとも違う。
(そうです。靉嘔作《ハイドラ》です。)
無機質な展示空間に突如として出現する怪奇物体。
(第5展示室です。)
幾多ものボルトナットで繋ぎ止められた
鋼鉄のボディらしき部分には謎の怪文書が刻まれる。
(鉄板をつなぎ合わせ円形に形作りました。)
(番号はおそらく当時のアルミの製造No.でしょう。)
四本の細い足が大地に突き刺さり、町を踏み荒らす。
(安心してください、動きはしません。)
原子炉を抱き、謎の怪光線を放つ。
(裸電球です。そして電灯の暖かみのある光です。)
光線は周囲の壁を溶かす灼熱の攻撃。
(壁に反射された光の模様は幻想的かつ、神々しくもあります。)
周囲の6つの円形の筒が轟音とともに激しく回転する。
(電球の熱による効果で、静かに穏やかに回っています。)

奴の名は“ハイドラ”ギリシャ神話の伝説の怪物。
(1960年代、靉嘔のニューヨーク時代の作品です。)
奴の姿を見て、生き残った者はいない…
(展示されるのは貴重です。是非一度ごらんください。)
(主任学芸員 鈴木一史)

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靉嘔 (Ay-O)

1931年茨城県に生まれる。1954年東京教育大学教育学部芸術学科(現・筑波大学)卒業。在学中から「デモクラート美術家協会」に参加。55年には池田満寿夫らとグループ「実在者」を結成。58年に渡米、ニューヨークを活動の中心とする。61年にオノ・ヨーコの誘いでフルクサス運動に参加。その後、世界各地で「レインボー・ハプニング・シリーズ」を敢行する。66年ヴェネツィア・ビエンナーレ、71年サンパウロ・ビエンナーレともに日本代表として参加。95年紫綬褒章受章。2012年には東京都現代美術館他で個展「靉嘔 ふたたび虹のかなたに」が開催された。

○「アートはサイエンスⅡ」展については

こちらから

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「レインボー・シリーズ」より前に作られたこの作品。
ぜひ、会場で体感してください!

⇒次回は「#7 伊東篤宏」2018.2.26(月)に掲載予定です。

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