琉球ガラス

沖縄でガラス製造が始まったのは明治時代だと言われています。長崎や大阪のガラス職人から伝わり、ランプのホヤや薬瓶などの生活用品を中心に製造されていました。そして戦後、焼け野原となった沖縄でガラス工場の復興にあたる職人が新たに作り出したものが、駐留米国人をターゲットにしたガラス製品でした。パンチボウルセットやサラダボウル、ドレッシング用の瓶、ワイングラスやシャンパングラスなど、アメリカ人の生活様式に合わせた商品が中心となりました。

原料は米国人が持ち込んだコーラやビールの色付きのガラス瓶。それらの瓶を再利用して作られたのが琉球ガラスの始まりです。廃瓶を利用した琉球ガラスはぽってりと厚みがあり、本来ならば不良品扱いとなる気泡も素朴な風合いとしてアメリカ人受けをしました。日用品としての需要はもちろん、アメリカ本土に持って帰るお土産品としても人気があったようです。気泡やヒビが入りやすく繊細さには欠けますが、ほかのガラスにはないその特徴が魅力となり、平成10年には伝統工芸品として認定されました。

現在は「珪砂(けいしゃ)」と呼ばれる砂を主原料に、「ソーダ灰」と「石灰」を調合して作られています。琉球ガラスの基本色はオレンジ、茶、緑、水色、青、紫の6色。着色剤の調合により6色以外の色を作りだすことも可能です。昔はコーラやビールの空き瓶の色をそのまま再利用して色付けをされていましたが、現在は原料を調合する段階で、着色剤を混入し発色をさせています。混ぜ合わせた原料と着色剤を大きな窯の中で一晩かけて水あめ状に溶かしガラスの素地を作って行きます。その過程で、炭酸水素ナトリウム(重層)を加えて撹拌させ、琉球ガラスの大きな特徴の1つでもある気泡を作り出して行きます。その後は成形過程に入るのですが、ここでは大きく分けて2つの工法があるようです。1つは息を吹き入れて膨らませる「宙吹き法」。もう1つは木製や金型の枠にガラスの素地を流し入れて形を作る「型吹き法」があります。大まかな形が出来た後は、職人によって仕上げの成形が施され完成となります。

当館ミュージアムショップでは沖縄最大級の琉球ガラス工房の職人さんたちによって作られた、日常的に使える琉球ガラス食器を中心に取り扱っております。

色合いやデザインが自然と沖縄の海を連想させる琉球ガラス。その魅力に魅せられればきっとあなたも好きになるはず。