ギャラリー

ドゥシャ 震える魂~花とバレリーナ~

インフォメーション

期間
2015年06月10日 - 2015年07月27日
前期
2015年06月10日 - 2015年06月29日
後期
2015年07月01日 - 2015年07月27日
会場
前期 ギャラリー2 ・ 3
後期 ギャラリー2
開館時間
4月 - 6月 10:00~17:00
7月 - 9月 10:00~18:00
10月 - 3月 10:00~17:00
※最終日は15:00まで
※入館は閉館30分前まで
休館日
毎週火曜日 (8月無休)
料金
無料
作家在廊日
6月10日(水)、11日(木)

概要

 ロシア出身のラブレンティ・ブルーニは30年もの間、花を描くことに自身の芸術的情熱を注ぎ込んできた。作家自身によって『震える魂 〜花とバレリーナ〜』と銘打たれたこの展覧会では、大小各種、さまざまな花の詩篇を、油彩・水彩合わせて約30点展示する。ブルーニはロシア国内のみならず、欧米や日本でも大きな関心が寄せられている存在である。

 花はブルーニにとって表現手段の礎となるものであり、作品は多様なサイズと色彩で展開されている。一輪で、花束で、満開の姿で、時には寓話的な激しい花びらの雨として……。激しく沸き起こる自身の衝動を抑制しつつ、大小様々な花びらを、色彩豊かに、しかし寡黙な筆致で描き出してきた。他作家と比較しても、ブルーニが最も重きを置くのがテクスチュアである。それはとりわけ油彩において顕著であり、チューブからたっぷりとひねり出された絵具は、本能的に一筆書きで塗り伸ばされ、他の原色とほとんど交わることはない。自由な表現を志向するアーティストの、全エネルギーの滾(たぎ)りである。ブルーニは絵具を三次元的に造形し、素材と格闘し、色彩を官能的に共振させる。純正なる色彩のきらめきは、そうした相互作用によってもたらされるのだ。

 また、大作や水彩画において彼が探求しているテーマにダンスが挙げられる。複雑な動きの一瞬を切り取り、画面に封じ込めるのである。演劇的ともいえる虚実の境界というテーマを滲ませながら、ブルーニの描くダンサーたちは蒼白な、モノクロの色調で描かれ、現世を超越した空気感を纏っている。これらの制作の背景が描かれた対象から現実感を剥ぎとるさまは、繰り返し描かれた花弁が妖精の国(フェアリーランド)を彷彿とさせるのと同様である。

 ドガ、レジェ、ルノワール等、ダンサーに魅せられた画家は数知れない。ブルーニもその一人であり、彼の作品はダンサーの所作を微細に観察することから生まれる。モデルとなっているのは、バレエ愛好家の間ではよく知られている、ボリショイ劇場のプリマドンナたちだ。しかし、ブルーニはその有名なダンサーたちをありのままに写しとるわけではない。彼女たち身体が躍動するまさにその一瞬を捉え、バレエという芸術に備わるたぐいまれな平衡感覚、気品、そして煌めきまでをあますところなく伝える。つまるところ、それはブルーニ自身の美に対する深淵なる感受性と感謝であるのだ。


関連イベント

公開展示
出演 : ラブレンティさんご本人
日時 : 2015年6月6日(土)・7日(日)・8日(月) 11:00~
実際の展示作業を見学いただけます。


プロフィール

LAVRENTY BRUNI

 ラブレンティ・ブルーニ(1961〜)は、ロシアの現代美術を牽引するアーティストの一人。ブルーニ家は18世紀にメンドリシオ(ティチーノ州、スイスのイタリア語圏)から帝政ロシアに移民してきて以来、代々画家を生み出してきた名門の系譜である。モスクワ大学で絵画技法を学んだ後、国内外で個展やグループ展を展開。コレクションの収蔵先は、オーストラリア、日本、アメリカ、イギリス、ロシア、香港、イスラエル、南アフリカ、フランス、ベルギーなど世界各地にわたる。
 現在、モスクワに在住し制作活動を行っている。