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名画のシルクスカーフ

名画をあしらった高級感あるスカーフを今回はご紹介します。フランスのリヨンで作られたシルク100%のスカーフです。

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リヨンはフランスの南東部に位置する都市で、約47km²の面積に48万人程が住み、フランスではパリ、マルセイユに次ぐ大都市です。古代から栄えた物資の集散地であり、中世には市の立つ町としてヨーロッパでも有数の交易地として栄えました。また、石畳の古き良き街並みが残る旧市街は「リヨン歴史地区」としてユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されています。
そして、何よりも絹織物の名産地としても知られており、高級ブランドのスカーフ等、絹織物が用いられた作品のアトリエが数多くあるそうです。

そんなリヨンには、絹織物産業において日本と歴史的に関わりがあるそうで少しご紹介。
元々シルクロードの恩恵でヨーロッパに伝わった絹織物が、リヨンで発展を見せたのは15世紀頃。ルイ11世が南フランスでの養蚕業の発展を指示したそうです。その後、16世紀に入ってからこの地は国から特許が認められ、ヨーロッパでの絹産業の中心地となります。19世紀に入ると、かのナポレオンもこのリヨンを訪れて絹織物産業の保護に努めたそうです。
そんなオシャレな名前の凄い人たちが関わってきたリヨンの絹織物産業ですが、19世紀半ば、蚕の病がヨーロッパ全体に蔓延し、当時世界一を誇っていたフランスの養蚕業・織物業が大打撃を受けます。
その際、注目を浴びたのが日本の上質な生糸と病気に強い蚕です。日本の開国の時期に重なったこともあり、リヨンは横浜港を起点に日本から蚕と生糸を輸入することになったそうです。富岡製糸場が最近世界遺産になっただけになかなか感慨深いお話ですね。

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そんな、今もなお絹織物の名産地であり、一流のブランドやデザイナーから支持されているリヨンのスカーフ。当館では複数あるアート柄から「ウィリアム・モリス」、「クロード・モネ」、「パウル・クレー」の3人の作品・デザインを用いたスカーフを選抜してご用意しております。
特にウィリアム・モリスはモダンデザインの父とも呼ばれ、花や植物をモチーフにしたパターンデザインが特徴です。華やかな物から落ち着きのある物まで様々なデザインが存在しますが、モリスのデザインは単なる柄ではなく、生活品に高級感を持たせる装飾と呼ぶべきものです。

スカーフのモリスの柄は、アカンサスという植物の葉をモチーフとしたデザインで、葉を表す装飾として古来より用いられてきた代表的なモチーフでもあるそうです。中世のデザインや手仕事を重んじたモリスにあってしかるべきデザインです。
淡い緑色で、光が透けることでよりやさしい色合いに感じられます。これからの時期に春先~夏にかけてぜひオススメする一点です。

きっと素敵なレディにおフランスの風を吹かせる事でしょう~。

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ナカムラ ジン

ChallengeWALL出展作家3人目のご紹介です。現代の新たな仏画を描くナカムラジンさんです。

ナカムラさんは軽井沢の歴史的建造物「油屋」にて、ギャラリー:Art Project 沙庭を運営しており、普段からアーティスト活動だけでなく企画担当もされている方です。

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そんなアーティスト活動以外にも幅広く活躍されているナカムラさん。作品も様々な素材を使い制作しており、平面作品だけでなく焼物も今回は出展いただいています。というのもナカムラさんは信州大学教育学部美術科工芸研究室を卒業し、元々は「鋳造」を勉強されていたそうで、陶芸とはまた異なりますが制作活動のスタートは焼物だったそうです。
焼物でも特に手本としたのは「古九谷」「古伊万里」といった彩色の華やかな焼物。その色使いや図柄といった部分が現在の制作に繋がったといい、何よりも純粋に絵を描きたいと感じたそうです。

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そして、現在の制作の中心となる「仏画」。ナカムラさんの描く仏画はどこか現代的で独自の描かれ方をしています。自身でも「現代アート」として仏画を描いていると語っています。古来の物をそのまま描くのではなく、前述の焼物にもありましたがあくまで色彩豊かな作品を描きたいそうです。
故に、描かれるのは悟りを開いたことで達観し飾りも無く身衣一枚の如来ではなく、その一歩手前の装飾が施された装身具を身にまとう菩薩を描くことが多いそうです。その方がやはり描き応えがあるとか。

古い物を大事にするという文化にあって、仏教・仏という物にはどことなく控えめで質素、まさに「わびさび」の言葉らしく華やかさとは真逆なイメージを持ちます。しかし、本来の仏教の世界観は極楽浄土を表現する場合や仏の神々しさを表すにあたって実に色鮮やかに表現されます。現代で見る仏画や仏像は長い年月による傷みや色落ちによって今の姿となっているだけで、実際に制作された当時は非常に派手な色使いが施されている物が多いそうです。ナカムラさんの色彩鮮やかな描き方は本来の仏画のあるべき姿・形であるとも言えます。

現代的に見えるのはその色彩だけではなく、仏が身にまとう装飾にもあります。仏が着飾る装飾はそれぞれの仏を表す重要な要素ですが、そういった小道具にナカムラさん独自のデザイン性が盛り込まれているのです。
佇まいや身に着けるべき装飾などは古来より描かれた姿・要素をしっかり押さえ、信仰の対象であるべき仏としての格式を損なうことなく描かれながらも、そういった細部へのこだわりによって現代の新たな仏画として表現されるのです。

上記ではあえて「現代的」という言葉を使いましたが、それは新しいという「未来的」という言葉に置き換える事もできます。仏教において弥勒菩薩は56億7千万年後に現在の釈迦如来に代わって救いを与えるとされるそうです。多くの宗教は偶像崇拝であり、仏の姿はそれらを当時の人々が想像して作ったものです。昔の人々がその姿を考えたように現代を生きる人が現代の新たな仏の姿を想像することは決して可笑しなことではなく、且、弥勒菩薩のように遥か未来の存在がいるのならば、その未来の姿を想像することもまた必然だと感じます。

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そして、仏画と合わせてナカムラさんが好んで制作しているのが「図像」を組み合わせた作品です。今回の出展作品ではリトグラフにポストカード、そして焼物があります。
日本での図像とは仏教用語として捉えられる言葉だそうですが、西洋的な見方では紋章学などを表すものであり、主題(意味合い)や象徴を視覚的に表した物だそうです。ナカムラさんはそういった図像、またはそれらをオマージュ・イメージして造られたレトロなデザインを日々収集しており、それを作品制作に取り込んでいます。
多くはパソコン上で幾つもの図像を組み合わせて一つの作品としてまとめ上げます。素材となる図柄の多くが主張の強いデザインであり、それを一つの作品に練り上げるのは高いセンスが求められます。ナカムラさんはデザイナーとしても活動しており、そこで磨かれたセンスが、あるいは逆にこの作品制作で培った技術が互いにデザイン力を高めこれらの作品を生み出しているのです。

培った経験が様々な素材での作品制作に反映され、かつそれらの道のり・年月が神仏を描くという行為に対して必要であり、作品の、仏のその姿に深みを増していくのです。
ナカムラさんの作品の数々をこの機会にどうぞご覧ください。

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小山利枝子

3人展2人目の紹介。小山利枝子さんです。

今回の出展作家では他のお二人が描くモチーフを人物ベースにしているのに対して、小山さんは唯一「花」をモチーフとして描く作家さんです。
そして、今回3名の出展いただいた作品で一際目を引くのが、小山さんの100号サイズの作品「魅惑にみちた出現」かと思います。画面いっぱいに描かれたその花には確かに「魅せる」何かを感じさせます。

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描かれている花はアブラナ科のストック。筆ではなく油絵用のブタの毛で出来たハケを使って描いていきます。アクリル絵の具を色水ほどにまで薄め、勢い良くただし花弁の方向や形を意識しながら流れに沿って丁寧に塗っていきます。花の持つ美しさを損なわないよう鮮やかさを維持するため混色は避けます。ただ、薄まった色を何度も塗り重ねることで彩度を保ちながら原色にはない色が表情として現れます。また、薄めた色は透明感を生み、硬さや重さを廃して柔らかさや軽さ、花本来の生命の揺らぎを感じさせます。

キャンバスに描く際に下絵は描きません。下絵があることで窮屈となり勢いや躍動的な印象が失われてしまうからです。また小山さんが線ではなく面で描く手法であることも理由の一つでしょう。
ですが、当然いきなりキャンバスに描くわけではありません。小山さんはキャンバスに描く前には必ず綿密なデッサンから入ります。具象を描く際の行為としてデッサンはもっとも基本であり、また対象を観察するという点で重要な行為と言えます。
ストックの花は僅か2cm程と小さく、デッサン自体はその等倍の大きさで描きますが、その「観察する」という行為が実物の何倍もの大きさで描く際の完成形をイメージさせ、作品の出来栄えを左右するのです。

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また、花が持つ生命の力強さ、美しさの表現が小山さんのテーマであり、観察はそれを知る対話的行動とも取れます。たとえ同じ花であっても花弁の形、色合いなどは異なります。観察による新しい発見というのは常に感じられるそうで、時に花弁の連なりが山脈のようにも見えるそうです。
顕微鏡で覗いた先にミクロの「世界」が感じられるように、2cm程の花の中にも繊密な観察によって広大な世界が見えてくるのです。故に何倍にも広がった大きなキャンバスにも抵抗や迷いなく制作に進むことができるそうです。

ただ、デッサンしたストックは実際にはピンク色をしていたそうです。一方、画面に描かれたものは春の芽吹きを感じさせるエメラルドグリーンです。デッサンを重視しながらも花が持つ空気感や、季節の移ろいによって意図的に変化を付けることもあるのです。また、形も決してデッサンと同じにはなりません。下絵がない分、その画面独自の流れがあるからです。また、画面が大きい分小山さん自身の動きにもリズムが生まれます。それは画面内の花の流れと自然と重なり、デッサンの形と異なりながらも違和感なく画面いっぱいに広がってゆきます。それによりただの具象絵画ではなく、ましてやデッサンの延長でもない小山さんのフィルターを通して「昇華」された形で作品となるのです。

近年、多様な芸術表現が日々生まれ、抽象表現的な分野が「現代アート」という中で多数を占めています。その中で自身の感情や社会的批判をテーマに作品に落とし込むことで時代が反映された作品が注目されているように見えます。
しかし、小山さんは作品に自身の感情や俗世間的な情報は一切投影しません。
表現すべきは花・対象が持つ生命の力強さ、美しさ。そこに余計な物を落とし込む必要はなく、僅か2cm程と小さくも咲き誇るそれらには広大な世界を覗かせるほど花は魅力に満ちています。
描くべきテーマは決してぶれることなく、常に真摯にその対象だけに制作が注がれる小山さんの作品をどうぞご覧くださいませ。

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